豊胸シリコンの新常識【寿命と安全性に関するFAQ】

この記事は、シリコンバッグでの豊胸を検討中の方たちに向けて、
シリコンバッグ豊胸に関する一美容外科医としての見解、個人的な思いをお伝えするものです。
特にみなさんが気になるであろう、触り心地、寿命(耐久性)、安全性について、意外に知られていない事実を詳しく解説しました。
FAQ形式なので、興味のある部分だけ読み飛ばしていただいても結構です。ぜひ、施術選びにお役立てください。

監修者紹介(THE CLINIC 統括院長 志田雅明)

シリコンバッグ豊胸が向いているのはこんな人

シリコンバッグの豊胸は古くから行われている豊胸術ですが、
自由に形や大きさが選べること、また、シリコンバッグ自体の品質も年々進化していることなどから、
今も希望する方は少なくありません。
痩せて脂肪が少ない方や、大幅にサイズアップしたいという方には、特に人気があるようです。

シリコンバッグ豊胸が向いている人の条件

もしあなたがこのような考えをお持ちであれば、満足度は大きいと思います。

人気の豊胸シリコンバッグの種類と特徴

シリコンバッグ自体の品質改善も進んでおり、自然な質感を訴求するバッグも多く見られるようになりました。
ここでは、最近特に人気のあるモティバ(エルゴノミクス)とベラジェルについて詳しくご紹介します。

モティバ(エルゴノミクス) ベラジェル
特 徴 より自然な見た目を追求 より自然な柔らかさを追求
メリット 表面にシワがよりにくい 触った時に気づかれにくい
デメリット 触った時に気づかれやすい 表面にシワがよりやすい

モティバ(エルゴノミクス) Motiva

Motiva(モティバ)エルゴノミクスのシリコンバッグ

アメリカ製でFDA(米国食品医薬品局)の認可を受けています。姿勢によって形が変化するので、体位に関わらず見た目が自然という点が特徴的です。授乳後などに胸が垂れてしまい、張りが失われたような方に適しています。形を維持しやすい理由は充填率の高さにあります。他のバッグに比べて中身が詰まっていて、さわりごたえがあるという印象です。

Motiva(モティバ)シリコンバッグのブランドイメージ

ベラジェル bellagel

Bellagel(ベラジェル )のシリコンバッグ

韓国製の非常に柔らかいバッグで、本物の胸に近い触り心地と言われています。難点としては、充填率がさほど高くない(パンパンの状態ではない)ので、バストに入れた際にシワになりやすい点があげられます。ただその反面、触感はとても柔らかいので、胸が小さい人でも触られた時にバレにくいという点はメリットです。

Bellagel(ベラジェル )シリコンバッグのブランドイメージ

※2020年11月4日、豊胸用インプラント「ベラジェル 」に人体移植に不適切なシリコン材料が使用されていたと、韓国メディアが報道しました。現在事実関係を調査中とのことです。
この報道を受け、一部のクリニックでは、真相が明らかになるまでベラジェルの使用を控えるといった措置が取られています。ご検討の際は十分に注意してください。

手触りに関するFAQ

改良が進んでいるシリコンバッグですが、最も気になるのはバストに挿入した際の手触り(質感)ではないでしょうか。
よくいただくのはこんな質問です。

  • 豊胸後のバストの手触りは自然?

    胸部の組織とシリコンバッグの位置関係
    胸の中でズレないよう、周辺組織で固定して挿入される。
    →圧がかかるため、触感がやや硬くなる

    ベラジェルなどは特にそうなのですが、バッグ自体は従来品よりも膜が薄く、触感も非常に柔らかくなっています。
    ただし注意いただきたいのは、体内に入れたバッグの触感は確実に変化するということです。手術後に皮膚の上から触ると、バッグそのものを触ったときに比べて少し硬く感じると思います。バッグは周辺組織に固定されるように収まるからです。

    ではどのぐらい硬くなるかですが、それは人によって異なります。もともとある程度バストにボリュームがある人はそれほど気になりませんが、痩せた体型だと硬さが顕著に伝わります。
    品質改良によってバッグそのもののさわり心地や質感はよくなっていますが、バストに入れたときにそれがどう変化するかまで想定しておくと良いと思います。気になる方は、カウンセリングに行かれた際にドクターとよく相談してください。

    詳しくはこちらをご覧ください。
    豊胸手術だとわかってしまうのはこんな時【3大施術のバレ度比較】

シリコンバッグの寿命に関するFAQ

シリコンバッグ豊胸に関してもう一つ気になるのは、寿命(耐久性)についてかと思います。
最近登場したバッグの中には「交換不要」などとアピールしているものもあるようですが、実際はどうなのでしょう。

  • 寿命は何年?

    寿命を迎えたシリコンバッグ
    挿入後7年経過したバッグ。一方は破損し、変色。バッグからシリコンがドロドロに溶け出していた。

    あくまで日々の診療から得た経験に基づきますが、シリコンバッグの寿命は大体10年ぐらいが相場です。当院でシリコンバッグの不具合や破損の修正をお引き受けする方々を見ていると、だいたいそんな印象を持ちます。

  • 寿命を迎えたバッグはどうなる?

    カプセル拘縮のイメージ
    バッグ周辺に付着した繊維組織が厚みを増し、硬化した状態。バッグが強く締め付けられるため、変形をきたす。

    シリコンバッグが寿命を迎えると、バッグの表面に付着した線維組織が硬くなり、バッグ自体を締め付けるようになります。この状態を私たちはカプセル拘縮と呼びます。またそれに伴って、バッグ自体も破損しやすくなります。
    この段階になると、皮膚からの触り心地もはっきりと硬さを感じるようになるので、多くの方はバッグの除去や入れ替えなど、何らかの対処を考えるようになります。当院にバストの不具合でご相談にいらっしゃる方の多くもこうした方々です。

  • 最近のシリコンバッグは劣化しないというのは本当?

    豊胸シリコンバッグに関するFDAの見解
    FDA(米国食品医薬品局)のサイトでも「乳房インプラントは生涯のデバイスではない」と明記されている。

    バッグの素材や手術技術が進歩してきているので、少しずつ耐用年数が長くなってきているのは確かです。ただ、劣化しないというのは言い過ぎです。ときどき、生涯交換不要なシリコンバッグが存在するかのような記事や広告を目にしますが、そうした情報は注意深く捉える必要があると思います。新しいシリコンバッグを体内に20年、30年と入れ続けてどうなるかということは、今のところ確認できていないからです。 事実として明らかなのは、当院にお越しになるゲストのように、手術後10年以内で何らかの不具合を訴えるようになる方が一定数存在するということです。 実際にFDA(米国の医療や食品に関する国家機関)の公式サイトを見ても、「乳房インプラントに関して知っておくべきこと」というページの一部に「乳房インプラントは生涯のデバイスではない」[1]という見解が示されています。シリコンバッグで豊胸した際には、シリコンバッグの除去や交換など、何らかのメンテナンスを継続する必要はあると認識してください。

  • シリコンバッグが寿命を迎えたらどうする?

    シリコンバッグの不具合によって変形をきたしたバスト
    シリコンバッグの破損による胸の変形

    寿命を迎えて不具合を起こしているバッグを長期間バストに入れ続けると、内出血や感染症を引き起こし、変形がますます加速します。不具合に気付いたら、早めにバッグを取り出してください。バッグの除去による大幅なボリュームダウンが気になるかと思いますが、その場合はシリコンバッグを改めて挿入するか、脂肪注入で対処できます。

  • シリコンバッグを脂肪に置き換えてちゃんと大きくなる?

    「脂肪ではシリコンが入っていたときほど大きくならないのでは?」 と思われるかもしれません。しかし、やり方しだいでは遜色ないレベルまで復活します。

    • シリコンバッグ除去+コンデンスリッチ豊胸の症例写真
      被膜拘縮の影響で球状に変形したシリコンバッグを脂肪に置き換え
    • シリコンバッグ除去+コンデンスセルチャー豊胸の症例写真
      右胸のバッグ除去後、両胸の脂肪注入豊胸を実施
    施術名: シリコンバッグ抜去+コンデンスリッチ豊胸
    概要: 乳腺用エコーを用いて、バスト内の状態を確認。その後、腋下か乳房下を切開してバッグを除去する。同時に、太もも、腹部などの皮下脂肪を採取し、そこから老化細胞や血液等の不純物を特許技術の遠心濾過で除去。これをバッグ除去後のバストのスペースに注入する。
    施術費用: (標準モニター)¥1,080,000(税込¥1,188,000)
    モニター募集に関して詳しくはこちらをご覧ください。
    【バッグ摘出再生豊胸モニター募集】
    副作用: 施術後には一定期間、痛み、浮腫み、内出血、こわばり等の症状が見られることがあります。また、この他にも予期しない症状が現れる可能性がありますので、術後異常を感じた際には速やかにご相談ください。

    実際当院でも、脂肪への置き換えを望まれる方は年々増えています。
    その理由は、主に次の3つです。

    • 乳がん検診に自信をもって行けるようなりたい
    • シリコンで作った胸は年齢不相応に思えてきた
    • 異物感が気になる

    これらはいずれも、根底には「自然でありたい」「健康的でありたい」という願いがあると思います。 シリコンバッグ豊胸は「今が大事」という方には魅力的ですが、時を経て心境やライフスタイルが変化してくると、最終的には自然さを求めるようになる方が多いという印象を持っています。

    脂肪注入豊胸について詳しくはこちら
    THE CLINIC の脂肪注入豊胸

  • シリコンバッグ が劣化しやすい人の特徴は?

    大きく3つの特徴があります。
    まず、元の体型が痩せ型で、バストサイズが小さい方は、バッグの劣化が早くなります。痩せた方の場合、バッグを挿入するするスペースを無理やり作ることになるので、挿入後のバッグにかかる圧は高くなりがちです。バッグに高い圧がかかると、それだけ劣化も早まります。
    次に考えられるのは、アレルギー体質など、異物反応を起こしやすい方です。バッグを異物として排除しようとする働きが強く出るので、周辺に作られる被膜が厚くなります。つまりカプセル拘縮が進みやすいということです。 またレアケースではありますが、格闘技選手など、胸に衝撃を受けやすい状況にある方もバッグが痛みやすくなります。
    最後に(これはご本人が原因ではありませんが)、バッグ挿入時の手術に問題があった場合も早期に破損してしまいます。具体的には、バッグの大きさとバストのスペースが見合わず、バッグにシワが寄ってしまった場合などです(リップリングと呼びます。)

    バッグが劣化しやすい人の特徴
    シリコンバッグが劣化しやすい人の特徴「痩せ型」のイメージ
    痩せ型の人
    シリコンバッグが劣化しやすい人の特徴「アレルギー体質」のイメージ
    アレルギー体質(異物に反応しやすい人)
    シリコンバッグが劣化しやすい人の特徴「格闘技選手」のイメージ
    格闘技選手など、胸に衝撃を受けやすい人
    シリコンバッグが劣化しやすい人の特徴「術中の不手際」のイメージ
    バッグ挿入時の手術に、不手際があった人

安全性に関するFAQ

最後にシリコンバッグの安全性についてよくいただく質問をご紹介します。

  • バッグが他の臓器に影響を及ぼすことはある?

    長年のシリコンバッグ挿入によって肋骨の変形が認められた例
    シリコンバッグによって肋骨が変形した例。

    あります。具体的には肋骨の形が変わることがあります。
    骨に長期間バッグが接して、そこに強い圧がかかり続けることが原因です。
    このような症状が見られるのは、大胸筋の下にバッグを挿入した場合です。胸の筋肉によって、バッグが肋骨に押し付けられることで変形が生じます。普段あまり意識していないかもしれませんが、何気なく腕を動かす動作でも胸の筋肉は収縮していて、その度にバッグには圧がかかっているのです。

  • バッグが固く拘縮する頻度はどれぐらい?

    だいたい10%とお考えください。
    拘縮の診断はBakerの被膜拘縮分類[2]が基準として用いられます。進行速度は手術の内容や体質によって異なりますが、バッグを挿入した時点から確実に劣化は進行すると認識してください。グレード3以上であればバッグ交換の目安と考え、日頃から注意して観察されることをお勧めします。もし違和感を感じた際は、早めに医療機関にご相談ください。

    Bakerの被膜拘縮分類
    Grade1 Grade2 Grade3 Grade4
    乳房は柔らかく、異物の感触がほとんど無い自然なもの。 よく触れるとインプラントが分かるが、まだ柔らかく、患者にあまり苦情がない。 患者自身が硬いと言う。外見上は美容的に可だが、触れると異物感がはっきり分かる。 拘縮がはっきりして、見ても異常感があり、触れればテニス硬球状である。
  • バッグがあると乳がん検診を受けられない?

    マンモグラフィー

    少し言い過ぎだと思います。できないというわけではなく、できる施設が限られるとお考えください。乳がん検診ではマンモグラフィーというレントゲン撮影を行いますが、その際、乳房を金属の板で強く挟む必要があります。
    この衝撃がバッグを破損させる恐れがあるので、慣れていない施設には断られることがあります。
    心配な方は、事前に対応可能な施設を調べておくか、別の豊胸術を検討されることをお勧めします。

  • バッグの交換は生涯続ける必要がある?

    バスト内の豊胸シリコンバッグのイメージ
    バッグ以外の組織が加齢で痩せてしまうので、バッグの形が目立ってくる。

    シリコンバッグにこだわるなら、そうせざるを得ないと思います。ただ、長期的に見た場合、年齢との兼ね合いに注意する必要があります。 年齢とともにデコルテは痩せていきますが、バッグの胸は痩せません。その結果、バストだけがいつまでも若々しいというアンバランスが生じます。また年とともに皮膚も薄くなるので、高齢になるほどバッグの形も強調されやすくなります。 こうした、年齢不相応な不自然さを理由に、ある時点で脂肪に置き換える方は少なくありません。

まとめ

シリコンバッグ豊胸は、確実なサイズアップが望めるという点では優れた方法だと言えます。
ただし、仕上がりが思い描くイメージ通りだとは限りません。
クリニックでのカウンセリングは、ぜひそのあたりを見極める機会にしていただければと思います。
複数の医療機関で、いろいろな立場の先生のお話を伺ってみてください。

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統括院長志田雅明医師

経歴
  1. 1981年
    兵庫県生まれ 奈良県育ち
  2. 2001年
    佐賀医科大学入学
  3. 2007年
    佐賀大学医学部医学科卒業
  4. 2009年
    初期臨床研修終了後 佐賀大学 一般・消化器外科 入局
    佐賀県医療センター好生館、佐賀大学医学部付属病院などで外科医として修練
  5. 2013年
    佐賀大学医学部医学科大学院 入学
  6. 2015年
    佐賀大学医学部医学科 博士課程早期卒業 医学博士取得
  7. 2016年
    独立行政法人国立病院機構 東佐賀病院 外科医長
  8. 2017年
    THE CLINIC 入職
  9. 2018年
    THE CLINIC 福岡院院長 就任
  10. 2022年
    THE CLINIC 統括院長 就任(兼任)
資格
  • 医師免許
  • 医学博士
  • 日本外科学会外科専門医
  • マンモグラフィ読影認定医
  • コンデンスリッチファット(CRF)療法認定医
  • VASER Lipo認定医
  • VASER 4D Sculpt(ベイザー4D彫刻)認定医
  • TOTAL DEFINER by Alfredo Hoyos 認定医
  • 緩和ケア研修・日本静脈経腸栄養学会研修会修了
  • ボトックスビスタ・ジュビダームビスタ受講修了
所属学会

THE CLINIC 福岡

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